集合痴は円周率の夢を見るか?

総試行数

233

互いに素な自然数の組の数

142

互いに素な自然数の組の割合

0.60944206008584

現在夢見られている円周率

3.1376855200187

次なる出鱈目

大雑把な説明

このページでは、みんながデタラメに入力した二つの数字の組から円周率を計算している。 その原理は、ランダムな二つの自然数が互いに素になる、 つまり最大公約数が1になる確率が \[ \frac{6}{\pi^2} \] になることである。

なぜそうなるかは、オイラーが解いた有名なバーゼル問題から説明する必要がある。

バーゼル問題とは、今の言葉で言うと、次の\( \zeta \)の特殊値に関する問題である。 \[ \zeta(s) = \frac{1}{1^s} + \frac{1}{2^s} + \frac{1}{3^s} + \dotsb \] この関数の\( 2 \)での値を求めることができるかが、何人もの数学者を悩ませた17世紀から18世紀にかけての有名な難問だった。 オイラーはこの問題に次の驚くべき解を与えた。

\[ \zeta(2) = \frac{1}{1^2} + \frac{1}{2^2} + \frac{1}{3^2} + \dotsb = \frac{\pi^2}{6} \]

なぜここで円周率\( \pi \)が出てくるのかは、本当に不思議である。 この問題にはいくつもの解放があり、オイラーが与えた\( sin \)関数の無限積に帰着させる方法や、様々な単純な形の関数のフーリエ展開に帰着できる。 興味がある方はWeb上にもいくつもの簡単な説明や詳しい説明があるので、ぜひ調べてほしい。

ちなみにオイラーはさらにすべての偶数での特殊値を与えている。 しかし、奇数での特殊値は、\( \zeta(3) \)が無理数であること、\( \zeta(5),\zeta(7),\zeta(9),\zeta(11) \)のどれかが無理数であることなど、 わずかなこと以外何もわかっていない。 これらのことは非常に興味深いが、とりあえずそれらはここでの話には深く関係しない。

オイラーが発見したこともう一つの驚くべきことで、しかもここでの話に深く関係するのは、この\( \zeta \)関数が、次の無限積で書けることだ。

\[ \zeta(s) = \frac{1}{1^s} + \frac{1}{2^s} + \frac{1}{3^s} + \dotsb = \prod_{p:\text{素数}} \frac{1}{1- \frac{1}{p^s}} \]

これをオイラー積と呼ぶ。 この目覚ましい式変形は、素因数分解の一意性から導かれる。 オイラー積の因子(オイラー因子と呼ぶ)は、よく見ると、

\[ \frac{1}{1 - \frac{1}{p^s}} = 1 + \frac{1}{p^s} + \frac{1}{(p^s)^2} + \frac{1}{(p^s)^2} + \dotsb \]

というように、等比数列の無限和に展開できる形である。 すると、オイラー積全体は、

\[ \prod_{p:\text{素数}} \frac{1}{1- \frac{1}{p^s}} = (1 + \frac{1}{2^s} + \frac{1}{(2^s)^2} + \dotsb)(1 + \frac{1}{3^s} + \frac{1}{(3^s)^2} + \dotsb) (1 + \frac{1}{5^s} + \frac{1}{(5^s)^2} + \dotsb) \dotsm \]

と変形され、右辺をさらに展開すると、

\[ 1 + \frac{1}{2^s} + \frac{1}{3^s} + \frac{1}{(2^s)^2} + \frac{1}{(5^s)} + \frac{1}{(2^s)(3^s)} \dotsb = \frac{1}{1^s} + \frac{1}{2^s} + \frac{1}{3^s} + \frac{1}{4^s} + \frac{1}{5^s} + \frac{1}{6^s} + \dotsb \]

となり、まさに\( \zeta \)関数が現れるのだ。

これによって、\( \zeta \)関数と素数全体が関連付けられる。

ここで、冒頭の確率に話を戻そう。そしてそれがどう\( \zeta \)関数と関係するかを見よう。

素数を一つ固定した時、\( M \)以下の数が、素数\( p \)で割り切れる確率は、 \( \frac{[\frac{M}{p}]}{M} \)となる。 ここで\( [ x ] \)は\( x \)以下の最大の自然数を返す関数である。

この\( M \)を大きくしていくと、この値は\( \frac{1}{p} \)に近づいていく。 これがランダムな数字が\( p \)で割り切れない確率である。

ここから、ランダムな二つの数字の組が両方共\( p \)で割れる確率、 つまり\( p \)を共通因数として持つ確率は、\( \frac{1}{p^2} \)になることがわかる。 すると、ランダムな二つの数字が\( p \)を共通因数として持たない確率は、補事象を考えればよいので、\( 1 - \frac{1}{p^2} \)になる。

二つの数の組が互いに素であるためには、あらゆる素数を共通因数として持たなければいい。 また、それぞれの素数に関して、それらを共通因数として持つ事象は互いに独立であるので、 それらが同時に成り立つ確率を求めたければ、それらをただ掛けあわせればよい。 するとランダムな二つの素数が互いに素な確率は、 \[ \prod_{p:\text{素数}} \bigl( 1 - \frac{1}{p^2} \bigr) \] であることが分かる。 これは先ほどのオイラー積表示の逆数に他ならない。 よって結局、求められた確率は \[ \frac{1}{\zeta(2)} = \frac{6}{\pi^2} \] であることが分かったのである。 これはまさに示したいことであった。

これにより、このページでは読者によって与えられたランダムな二つの数によって、円周率を計算出来るのである。 具体的には求められた確率で\( 6 \)を割り、平方根を求めている。

もちろん、無限個ある自然数を全て同じ確率で与えることは不可能である。 人類がこの先何億年存続しようとも、その間に考えることができる自然数は有限であり、 人類がその間に一度も考えたことがないような巨大な数が必ず存在する。

なので多分、少数第一位すら合わないと思うが、あくまで「ネタ」なので多めに見て欲しい。

数学小説(離反篇)

あいつのことが分からない。

単純な奴、分かりやすい奴。そう思っていた。 それもこれもあたしの勘違いに過ぎなかったのかな?

あいつのやることなんて、「次」だけだった。 何かをやって、「次」ってするだけ。

そしてそれにはちゃんと「始まり」があった。だから、前へ前へとたどっていけば、いつか「始まり」があった。 だから安心できた。 こいつとなら付き合ってられると思ったのだ。

そもそもあいつとあたしの付き合いは物心ついたときには始まっていた。 聞いたとこでは、産まれたばかりでも、あいつの「始まり」と「次」をちょっとは理解できるっていう。

きっとあいつとの付き合いは、あたしが生まれる前、あたしの祖先がまだ言葉も知らず、そもそも人間なんかではなかったころからだったに違いない。